「相続税の申告は、自分でできないの?」


「相続税の申告は、自分でできますか?」

と、質問されることがあります。
答えから申し上げれば、「自分で申告できます」

日本において、多くの税金は、自分で申告し支払う「申告納税制度」がとられており、相続税もその一つです。

             


それならば、自分で申告すれば税理士報酬がかからないので、安く済ませられると考える方が多いでしょう。しかし、多くの方が税理士に相続税申告を依頼するのは、なぜでしょう


その理由は、

申告書作成にかかる時間や労力の節約税務調査を受けることになった際の精神的苦痛や追徴課税のリスクの軽減専門家に任せることによる節税効果

などにあります。                

相続税申告の手順

 ご自身で相続税の申告をしたい方のために、その手順をご説明いたします。


【相続税申告の手順】


①相続税の申告書を取得
国税庁のHPからダウンロードすることができます
税務署は相続税の納税義務がある方を大体把握しているため、被相続人が亡くなると、相続人の方へ相続税申告書が送られてくることもあります。


②相続人及び相続財産の調査
戸籍謄本を取得し、相続人を確定します。
課税対象となる相続財産を調査し、その財産の評価額をそれぞれ算定します。預貯金や上場株式などは比較的簡単に評価額の算定が出来ますが、土地や建物の評価は様々な特例があるため複雑です。


③相続税の申告書作成
相続税の申告書は、第1~15表まであります。その中から必要なものを選び作成します。
・被相続人や相続人の住所・氏名・電話番号・職業、相続人ごとの相続財産の金額などを記載し、相続税を算出する(第1表)
・相続税の総額の計算書(第2表)
・相続人に配偶者がいる場合には、配偶者控除を計算(第5表)
・生命保険金金額を記載(第9表)
・死亡退職金の金額を記載(第10表)
・相続財産(土地・家屋・現預金・有価証券・その他財産など)を記載(第11表)
・債務や葬式費用を記載(第13表)
・生前贈与や相続時精算課税制度の対象となった財産を記載(第14表)
など。


以上が、相続税の申告書提出までの流れです。
国税庁のHPに「相続税の仕組みの解説」や「相続税の申告要否の簡易判定シート」が載っていますので、こちらも参考になさってください。       

税理士に依頼する利点とは? 

「忙しくて、申告書を作成する時間的余裕がないから」

自分で申告書を作成しようと決めた場合、まず、必要な書類を取得するために金融機関や役所へ行くことになるでしょう。しかし、あとからあとから必要書類な書類が出てきて、何度も足を運ぶ方が多いようです。また、申告書のわからない箇所について質問するため、税務署に行くこともあるかもしれません。

ご家族を亡くされた悲しみの癒えぬ中、残された遺族の方には、四十九日の法要や遺品整理など相続税の申告以外にすることが多くあるため、これらの手続きは煩雑で負担も大きいことでしょう。しかも、これらの機関は平日の昼間にしか開いていない所がほとんどですから、お仕事の都合でなかなか行くための時間が取れないという方もい多いことでしょう。

しかし、相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日)が期限です申告期限までに申告をしないと無申告加算税(本税の5%)と延滞税が発生しますので、これに間に合うように手続きを行わなければなりません。
また、相続税の申告書には評価の根拠となる書類を添付する必要があるため、場合によっては最終的に電話帳の厚さほどのファイルなることも珍しくありません。自分で申告しようと何カ月も準備していても、あまりの書類の多さに途中であきらめて相談に来られる方もいらっしゃいます。   

「税務署の調査に、自分で対応するのは不安だから」

ご自身でなんとか申告書を作成して無事に提出、これで終わりだと思っていたら、税務署から申告漏れ等の非違(誤り)を指摘され、相続税を追徴される場合もあります。

税務署は、必ず提出された申告書を審査します。続税申告書第1表の右下には税理士の署名捺印欄があります。税理士に依頼せずに自分で相続税申告書を作成した人は、この税理士署名欄が空白になります。税理士が関与していない相続税の申告書は誤りが多いため、入念にチェックされる傾向にあるようです。
また、相続税にも国税庁の調査があります。相続税の申告後1年以上経ってから連絡が来ることも多く、驚かれる方も多いでしょう。

平成26年7月~平成27年6月の1年間で相続税を課税された被相続人は5万人強。その中で実地調査の対象となったのは1万2,406件。つまり、約4人に1人が調査の対象となっています。そして、その8割強である1万151件において、申告漏れ等の非違(誤り)が見つかっています。さらに、その約12%である1,258件で重加算税を課せられているのです。
そうなると、税理士に支払う報酬を節約できたと喜んでいたのも束の間、ペナルティーを含めた多額の追徴税額を納めることになり、かえって高くついてしまうでしょう。これなら、最初から税理士に依頼した方が安上がりだったいう事態にもなりかねません。また、税務署とのやり取りは、経験したことのない方にとって想像していた以上の心労が伴います。あらかじめ税理士に依頼していれば、一般的には調査等の連絡は税務署から税理士になされ、税理士が納税者の代理人として税務署に対応いたします。      

「できるだけ節税したいから」

相続税申告をご自身で行う場合、申告漏れのないように、かつ多く税金を払いすぎることのないように相続税を計算するためには、最低限の相続税の知識が必要です。インターネットが普及している時代ですから、相続税の申告方法が説明されているサイトも多く存在しますが、法律の堅苦しい言い回しを理解することは簡単ではありません。それでも、相続財産が少額の現預金のみで節税の余地がなく、時間的余裕が十分ある場合は、ご自身での申告が可能でしょう。

相続税の申告において、一番難しいのは土地の評価です。
一般的には、毎年家に送られてくる固定資産税評価明細書に記載されている土地価額×1.14した価格が土地の相続税評価額の概算となります。税務署でも、一般的な計算方法として教えてくれるでしょう。しかし、この価額で申告すると、税金の払いすぎになるかもしれません
なぜなら、形が悪かったり(不整形地)使い勝手が悪い(間口が狭い、一部が崖になっている等)土地などでは、国税庁が出している「財産評価基本通達」に従い評価額を下げることができるからです。その他にも、小規模宅地等の特例など税額軽減の特例等が数多くあります。そして、それぞれの特例には厳格な要件や必要添付書類が定められています。最初の相続税申告から適用していないと後からは適用できない特例等もあり、その判断には専門性が必要です。

相続税は申告納税ですから、申告する納税者又は代理人である税理士が評価して申告することとなります。土地に関しては評価する人によって差異が生ずる可能性があり、税務署に相談に行っても、最適な土地の評価額を計算し教えてもらえるわけではありません

各地で行われている税理士の無料相談会で相談すればある程度のことは教えてもらえるでしょうが、限られた時間と限られた資料で最適な判断をすることは、専門家でも難しいでしょう。なぜなら、私たちは、細心の注意を払って評価を行うために土地の評価に当たっては必ず現地を訪れ、周りの環境(近隣の施設、高架線の有無など)を直接確認し、実際にメジャーを使ってその土地や前面の道路幅を測るなど時間をかけて調査を行うからですそして、節税のためにはどの特例を適用すればよいか、優位判定を行います。


実際に、私どもで相続税の申告をお手伝いさせていただいたお客様には、保険会社で無料試算してもらった相続税試算額より数百万も安い税額で収まったと喜んでいただいたこともございます。    

高木英樹税理士事務所

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